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はじめに

Introduction

HARTクリニックでのARTの進化(システムについて)

「当院でのART治療の進化」

ART治療の進化には成績に直結する進化と治療のシステムやマネジメントの進化があると考えます。
HARTクリニックでの進化を双方について述べたいと思います。
(2018年3月11日、日本受精着床学会の「第14回ART生涯研修コース」における当院院長の講演より)

~ISO、JISARTについて(システムの進化)~

ISO(International Organization for Standardization)とは

2000年に、不妊症治療専門クリニックとして、渋谷に開業しました。10年以上かけてより広い物件を探し、2009年に、現在の南青山に移転しました。ある程度広さがないと動線が重なり、効率良く、長時間、楽しく働けません。

2002年頃に広島HARTクリニックの院長であった高橋先生からISOを導入しないかと話がありました。これ以上雑用が増えるのは嫌だと思いましたが、いちいち院長から指示をされないと機能しないクリニックではだめだと説得されました。

スタッフからISOとは何ですかとよく聞かれました。満足させる回答はできませんでした。そこで、一緒に勉強しようと考えました。

ISO取得に向けて

2003年のESHREからの帰りに、ドイツのハンブルグにあるHFC(Hamburg Fertility Center)- ISOをドイツで初めて取得したクリニックーを訪問し、Dr. Fisherに1日かけて、とても丁寧にクリックの設備や様々なことの説明を受けました。

感心したのは設備がとても広く、採精した御主人が誰にも会わなくて施設から出られるなどと、ISOを取得し、間違いが起こらないように、顧客満足度が上がるようにいたるところに工夫がされていました。カルテは電子カルテで、MAが隣室で音声マイクで会話を聞いて、入力していました。

東京HARTクリニックにISOを導入するにあったって、スタッフから強い反対がありました。理由はマニュアル作りや運用が面倒だからです。

ISOを取得して

ISO導入後のクリニックの具体的な計画とは、

  • ・顧客満足度を上げる。
  • ・検体(受精卵、卵子、精子、血液など)や薬剤(投薬、注射など)を間違えないよう必ずダブルチェックをする。(ラボに2次元バーコードを導入、コンピューターにさらにチェックさせる)
  • ・年2回、患者アンケートを実施して顧客満足度などの調査を行う。
  • ・年2回、部署間でISOが正しく運用されているか監査し合う。
  • ・年1回、外部監査により、ISOが正しく運用できているか、第三者の監査を受ける。
  • ・毎月全体ミーティングを行う。

ISOを導入する利点

ISOを導入したから、患者が増え、クリニックの収益が上がる、というものではありません。皆が安心安全に働くためであり、利益優先のクリニックは、余分な費用が掛かり、面倒なだけです。以下にISO導入の利点を列挙します。

  1. 院長が年頭に品質目標を立てると、各部署ごとに、品質目標計画書作成し、目標を達成できるよう努力する。
  2. 卵子、受精卵、精子、検体、薬品などの取り違えや、間違いがほとんどなくせる。アクシデントにならない。

人間はたとえトリプルチェックをしても必ず間違いをするので、ラボ内に二次元バーコードを導入してコンピュータにダブルチェックやトリプルチェックをさせることは、ヒヤリハットもなくなったので有効だと考えます。

  1. 各部署(医師も含みます)の皆がマニュアルどうりに仕事ができ、病気欠勤者が出ても他のスタッフがカバーできる。
  2. 院長が指示しなくても、新人教育を各部署ごとに行う。
  3. 院長の指示を婦長だけ知っているのではなくて、皆が周知している。
  4. 常にスタッフは自ら、新しい知識や技術の向上に努める。

要するに院長がいちいちチェックしなくてもクリニックが安心安全に機能します。ドクターの指示もダブルチェックされるので安心です。

JISART(日本生殖技術認定委員会)の審査・入会

JISARTとは、ISO理念に基づいた、志の高いクリニックが集まっているグループです。やはり収益が上がることを期待できるものではありません。

広島HARTクリニックの院長であった高橋先生に、ART治療の助成金についてオーストラリアの例を挙げて、国は医者が何を言っても聞かないけど、患者の言うことは聞く。したがって、日本にも患者団体を作る必要があると、説得されてJISARTに入会し、患者団体を設立し、慶應義塾大学の吉村教授にお願いし、国が動き助成金を獲得できました。当時の副院長であった後藤先生が患者団体を”Fine”と命名しました。

ISO的に安心安全に仕事ができる施設を作る

オーストラリアの不妊症治療施設監査チームであるRTACの審査を受けて、特にラボは完璧であるといわれ審査に合格しました。

しかし、監査の最後の総括で、Dr. Sandersに「スパイス、スパイス」と何度も言われました。要するにクリニックのスペースが狭いと、それは分かっていたのですが、東京には理想の物件がなく、当時はどうしようもないことでした。

2009年に動線が重ならない十分な広さの物件が見つかり、引っ越しました。ぶつからないように注意して、作業することがなくなりました。

2009年のクリニックの工事中、海外の2人のPh.Dと夕食しました。ラボの図面が気になっていたので、2人に見せるとベルギー人とアメリカ人なのですが、図面を書き直しました。これが今の東京HARTクリニックのラボです。とても動きやすく働きやすいと思います。

今の施設はDr. Sandersが見ても文句は言わないと思います。